賃貸管理事業を本格的に展開するには、宅建業(宅地建物取引業)免許だけでなく、賃貸住宅管理業の登録(2021年から制度化)も視野に入れる必要があります。両者を組み合わせれば、「物件仕入れ→賃貸仲介→入居者管理→出口戦略(売却仲介)」までワンストップで提供できる管理会社が完成します。
本記事では、賃貸管理に特化した管理会社の設立から宅建業免許取得、さらに賃貸住宅管理業登録までの流れを、宅建免許専門の行政書士が2026年最新ルールで解説します。
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まず整理:賃貸管理業に必要な2つの許認可

賃貸管理業を行う事業者には、業務範囲に応じて2つの異なる許認可が関係します。
| 許認可 | 根拠法 | 対象業務 | 必要なケース |
|---|---|---|---|
| 宅地建物取引業免許 | 宅建業法 | 売買・賃貸の代理/媒介 | 賃貸借契約の媒介・代理を行う場合 |
| 賃貸住宅管理業の登録 | 賃貸住宅管理業法(2021年6月施行) | 賃貸住宅の維持保全・金銭管理 | 管理戸数200戸以上で義務/200戸未満は任意 |
自社物件の管理だけなら宅建業免許は不要
「自ら賃貸する」「自社物件を自社で管理する」だけなら、宅建業免許も賃貸住宅管理業登録も不要です。
業務拡大時には両方の許認可が必要に
オーナー物件の賃貸仲介を行うなら宅建業免許、オーナーから管理受託を行うなら賃貸住宅管理業登録が必要です。両方を取得することで、賃貸管理会社として競争力ある事業展開が可能になります。
賃貸住宅管理業の登録|200戸以上で義務化
登録が必要となる事業者
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(2020年成立、2021年6月施行)により、
- 管理戸数200戸以上:登録義務
- 管理戸数200戸未満:登録任意(信用力確保のため推奨)
「管理戸数」には、サブリース物件・転貸物件も含まれます。事業拡大によって自然と200戸を超えるケースは多いため、早期登録がおすすめです。
登録の主要要件
① 業務管理者の配置(営業所ごとに1名以上)
業務管理者は、以下のいずれかの要件を満たす者を配置する必要があります。
| ルート | 要件 |
|---|---|
| 賃貸不動産経営管理士ルート | 管理業務2年以上の実務経験+登録試験合格+登録 |
| 宅建士ルート | 管理業務2年以上の実務経験+宅地建物取引士+指定講習(10時間)の修了 |
※ 実務経験は「賃貸住宅管理業務に関する実務講習」の修了で代替可能。
宅建業免許を取得していれば、社内の宅建士を活用して業務管理者を配置できるため、ダブルライセンスは非常に有利です。
② 財産的基礎の確保
直近の貸借対照表で負債が資産を超えていないこと(2期連続黒字なら認められる場合あり)。
③ 業務上の義務
- 管理受託契約締結前の重要事項説明
- 契約締結時の書面交付
- 財産の分別管理(家賃口座と自社口座の分離)
- 委託者への定期報告(年1回以上)
- 帳簿の備付け、秘密保持義務
登録手続きと費用
- 申請先:国土交通省(各地方整備局)
- 申請方法:eMLITの賃貸住宅管理業登録電子申請システム(推奨)
- 登録免許税:9万円(新規)
- 審査期間:申請から約90日
- 更新:5年ごと、満了日の90日前から30日前まで
- 更新手数料:電子18,000円/紙18,700円
宅建業免許の取得|賃貸仲介にも必須
賃貸管理会社がオーナーと入居者の間で賃貸借契約を媒介・代理する場合、宅建業免許が必要です。
① 事務所要件
宅建業の事務所には以下が求められます。
- 独立した区画(生活空間・他事業との明確な区分)
- 鍵付き収納、固定電話、机・椅子
- 来客応対・重要事項説明用の応接スペース
- 標識・報酬額表の掲示
レンタルオフィス・自宅でも、要件を満たせば取得可能です。
② 専任の宅地建物取引士
事務所ごとに、業務に従事する者5名につき1名以上の専任宅建士の設置が必要です(宅建業法第31条の3)。
「専任」とは、その事務所への常勤性+宅建業に専ら従事する専従性を満たすこと。代表者自身が宅建士資格を持っていれば、専任宅建士を兼任できるケースもあります。
🔗 関連記事: ・宅建業における専任の宅建士の重要性:設置義務と注意点 ・専任の宅地建物取引士が転職や退職した場合の手続きと注意点
③ 営業保証金または保証協会加入
⚠️ よくある誤解:「弁済業務保証金分担金として550万円」 → 完全な誤り ✅ 正解:本店60万円、支店ごと30万円(弁済業務保証金分担金)
実務的には、保証協会への加入(弁済業務保証金分担金+入会金等で総額150万〜180万円程度/東京の場合)を選ぶケースが大多数です。営業保証金を直接供託する場合は本店1,000万円+支店ごと500万円が必要となります。
④ 申請手数料
⚠️ よくある誤解:「登録免許税新規33,000円、更新31,000円」 → 誤り ✅ 正解:知事免許の新規・更新ともに申請手数料33,000円(収入証紙)。大臣免許の新規は登録免許税90,000円
「31,000円」という金額は存在しません。
⑤ 申請から営業開始までの流れ
- 事務所確保・要件チェック
- 法人設立(株式会社:約20万〜25万円、合同会社:約10万円)
- 必要書類の準備
- 都道府県知事 or 国土交通大臣へ申請
- 審査(約30〜60日)
- 免許通知
- 免許通知日から3か月以内に保証協会加入 or 営業保証金供託
- 営業開始
🔗 関連記事: ・宅建免許申請の流れと書類準備:完全ガイド ・「国土交通大臣免許」と「都道府県知事免許」の取得方法とその違い ・宅地建物取引業の会社形態は株式会社か合同会社かを行政書士が教えます
賃貸管理会社設立の成功のポイント
① 法人形態の選択
賃貸管理事業を法人で行う場合、株式会社と合同会社のどちらでも申請可能です。社会的信用やオーナー獲得を重視するなら株式会社、設立コストを抑えるなら合同会社が選ばれる傾向にあります。
② 事務所立地の選定
賃貸管理業は地域密着型のビジネスです。管理エリアと営業所の所在地は近接させ、入居者・オーナーからのアクセス性を確保しましょう。
③ 業務管理者と専任宅建士の兼任
業務管理者の宅建士ルートを選ぶ場合、業務管理者と専任宅建士の兼任は可能です。社内の人材を有効活用しましょう。
④ ITツールの活用
物件管理システム・電子契約・家賃決済システムなどを早期に導入することで、人件費を抑えつつスケールアップが可能です。
免許申請で避けたい失敗パターン
- 事務所要件の不備:パーテーションのみの仕切りは認められないことがある
- 専任宅建士の不在:従業員5名に1名以上の確保ができていない
- 欠格事由の見落とし:役員に過去の宅建業法違反、破産者で復権を得ていない者などが含まれている
- 書類の不備・虚偽記載:補正で済む場合と、即不受理になる場合がある
- 賃貸住宅管理業登録の見落とし:管理戸数200戸を超えた瞬間に無登録営業になるリスク
これらを避けるには、宅建業免許+賃貸住宅管理業登録に精通した専門家への依頼が最も確実です。
まとめ:宅建業+賃貸住宅管理業のダブル取得で競争優位を確立
賃貸管理に特化した管理会社を設立する際は、
- 宅建業免許:賃貸仲介・売買仲介を可能に
- 賃貸住宅管理業登録:管理戸数200戸超で義務化、信用力アップにも有効
- 業務管理者の宅建士ルート:社内の宅建士を有効活用
- 保証協会加入で営業保証金1,000万円を約150万〜180万円に圧縮
- ITツールとの組み合わせで事業スケールが可能
両方の許認可を取得することで、賃貸管理会社としてのフルパッケージ運営が実現します。複数の制度にまたがる手続きは煩雑なため、早い段階での専門家相談が成功への近道です。
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