司法書士・土地家屋調査士・行政書士など士業の方が、不動産取引業務に深く関わる中で「自分でも宅建業を始められないか」と考えるケースは少なくありません。

特に司法書士は不動産売買の決済・登記を、土地家屋調査士は土地分譲・境界確定を本業としており、ここに宅建業を加えればワンストップで顧客に提供できるという大きなメリットがあります。

しかし実務上は、

  • 士業法人では宅建業免許を取れない
  • 専任宅建士の「専任性」がネックになる
  • 都道府県によって兼任の判断が異なる

など、独特の論点があります。本記事では、宅建業免許専門の行政書士が2026年最新ルールで解説します。

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士業+宅建業のシナジー:なぜワンストップが強いのか

士業+宅建業のシナジー:なぜワンストップが強いのか

司法書士 × 宅建業

不動産売買では、売買契約 → 重要事項説明 → 決済 → 所有権移転登記が一連で発生します。司法書士が宅建業も営めば、

  • 売買仲介(宅建業)
  • 重要事項説明書の作成(宅建士の独占業務)
  • 所有権移転登記(司法書士の独占業務)

自社内で完結でき、顧客は仲介手数料と登記費用を一窓口で処理できます。仲介手数料(売主・買主双方)と司法書士報酬の両方を得られる収益モデルです。

土地家屋調査士 × 宅建業

土地家屋調査士は土地境界・分筆・地積測量を担います。これに宅建業を加えれば、

  • 大きな土地の購入
  • 分筆・地積測量(土地家屋調査士の業務)
  • 分譲販売(宅建業)

までを一気通貫で行えます。土地分譲ビジネスとの相性が抜群です。

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士業が宅建業免許を取得する4つのスキーム

士業の方が宅建業を始める場合、スキームは大きく次の4つに整理できます。

スキーム申請主体専任宅建士の兼任可否
士業法人で取得不可
新法人を設立して取得⭕ 可(新会社)❌ 法人スキームでは士業を本業とする方は専任宅建士になれない
個人事業主として取得(同一事務所内で兼業)⭕ 可(個人)⭕ 一定条件下で(都道府県判断、申立書必要)
④ 親族・知人を代表者・専任宅建士に立てる⭕ 可自身は関与せず

それぞれ詳しく見ていきます。

① 士業法人では宅建業免許を取得できない

司法書士法人・土地家屋調査士法人・行政書士法人などの士業法人は、宅建業免許の申請主体になれません

これは、士業法人がそれぞれの士業法に基づき、士業以外の業を営むことが認められていないためです。司法書士法人で宅建業を行うことはできず、もし宅建業を始めたいなら、別途の法人や個人事業主としての枠組みを用意する必要があります。

② 新法人を設立して宅建業免許を取得

最も一般的なスキームが、宅建業のために株式会社(または合同会社)を新設するパターンです。

  • 士業の方が新会社の代表取締役に就任
  • 別途、専任宅建士を雇用または役員として確保
  • 士業事務所とは別法人・別事業として運営

このパターンでは、士業の方ご自身は専任宅建士にはなれません。これは「士業を本業として別の事務所で勤務している人」は宅建業会社に常勤・専任とはみなされないためです。専任宅建士は別途確保する必要があります。

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③【最大のポイント】個人事業主として同一事務所内で兼業

意外と知られていないのが、このスキームです。

個人事業主の士業が、同じ事務所内で個人事業主として宅建業も営む場合、自身が宅地建物取引士の資格を保有していれば、専任宅建士を兼任できる可能性があります

兼任が認められるための要件(東京都・神奈川県・大阪府等の運用)

  1. 宅建業免許の申請主体が「個人」であること(法人ではNG)
  2. 士業事務所と宅建業事務所が**同一場所(同一建物)**にあること
  3. 申請時に「専任の宅地建物取引士自由業兼業に関する申立書」を提出すること
  4. 勤務実態・業務量から見て、宅建業に常勤・専従できる体制であること

実際、東京都でも次のような場合は兼任が認められる運用です:

個人の宅地建物取引業者で専任の宅地建物取引士でもある者が、行政書士、司法書士、土地家屋調査士等の自由業に従事する場合は、同一建物内において兼業している場合に限り、兼任が認められる場合があります。

ただし、都道府県により判断が異なる点に注意が必要です。事前に管轄行政庁または専門家への確認は必須です。

🔗 関連記事: ・宅建業における専任の宅建士の重要性:設置義務と注意点宅建取引士の出向と常勤性・専任性:専任取引士とは?個人事業主の宅建業免許申請と法人化の可否

④ 親族や信頼できる第三者を代表者・専任宅建士に立てる

ご自身が宅建士資格を持っていない、あるいは士業を本業として継続したい場合は、親族や信頼できる人物を新法人の代表者・専任宅建士として立て、自身は登記や測量などの業務提携でシナジーを得る方法があります。

政令使用人の正しい理解

ここで、よくある誤解を正します。

❌ よくある誤解:「政令使用人は宅地建物取引士でなければならない」 ✅ 正解:政令使用人は宅建士である必要はありません

政令使用人とは、代表取締役が宅建業の事務所に常勤できない場合に、その事務所で契約締結権限を有する常勤者として設置される役職です。求められる主な要件は、

  • 成年者であること
  • 欠格事由に該当しないこと
  • 当該事務所に常勤できること
  • 契約締結権限を有すること

であり、宅建士資格は不要です。ただし、政令使用人と専任宅建士は別途設置する必要があるため、要員設計には注意しましょう。

司法書士法・土地家屋調査士法に「兼業禁止」規定はない

もう一つの大きな誤解を正します。

❌ よくある誤解:「司法書士法・行政書士法・土地家屋調査士法には兼業制限がある」 ✅ 正解:これらの士業法には、他職業との兼業を一律禁止する規定は存在しません

司法書士法・行政書士法・土地家屋調査士法には、他職業(特に宅建業)との兼業を制限する明文規定はありません。したがって、法律上は宅建業を兼業すること自体に問題はありません

ただし、各士業会の内部規則で届出義務が設けられているケースはあります(例:所属する司法書士会への業務報告など)。事業開始前に所属会に確認しておくのが安全です。

なお、弁護士は別途所属弁護士会への営業許可申請が必要、税理士も所属税理士会への届出が一般的に求められます。

宅建業免許取得の流れと費用(2026年最新)

主な必要書類

  • 宅建業免許申請書
  • 法人の履歴事項全部証明書(法人の場合)/ 住民票(個人の場合)
  • 役員・政令使用人・専任宅建士の身分証明書、登記されていないことの証明書
  • 専任宅建士の宅建士証の写し
  • 「専任の宅地建物取引士自由業兼業に関する申立書」(個人事業×士業兼業の場合)
  • 事務所の使用権原を示す書類
  • 事務所写真台紙(外観・内部・標識)
  • 略歴書、誓約書、宅建業に従事する者の名簿 ほか

費用の目安

項目金額
申請手数料(知事免許)33,000円
登録免許税(大臣免許新規)90,000円
保証協会加入(弁済業務保証金分担金+入会金等)約150万〜180万円
または営業保証金供託本店1,000万円〜
法人設立費用(株式会社)約20万〜25万円

審査期間は約30〜60日、保証協会手続きを含めると申請から営業開始まで約45日〜2か月を見込んでください。

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まとめ:士業の専門性 × 宅建業のワンストップが最強

司法書士・土地家屋調査士・行政書士が宅建業を兼業することは、

  • ワンストップ化による顧客満足度・収益性向上
  • 専門知識による信頼獲得
  • 業務シナジー(登記・測量・宅建業の連携)

という大きなメリットがあります。一方で、

  • 士業法人では宅建業免許は取得不可
  • 法人スキームでは士業の方は専任宅建士になれない
  • 個人事業主×同一事務所なら専任宅建士兼任が可能なケースあり(要申立書)
  • 政令使用人は宅建士不要
  • 司法書士法等に兼業禁止規定はない

といった独特の論点を正しく理解する必要があります。最適なスキーム選択は事業計画と都道府県の運用次第ですので、宅建業免許専門の行政書士への早期相談が、最短ルートでの開業を実現します。

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  • 「専任の宅地建物取引士自由業兼業に関する申立書」など特殊書類の作成も対応
  • 法人設立・保証協会加入までワンストップ
  • 司法書士の先生方の登記との役割分担もスムーズに連携

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