宅建業を開業する際、「バーチャルオフィスを事務所として使えないか?」という質問をよくいただきます。結論から言うと、バーチャルオフィスは宅建業の事務所としては認められません。宅地建物取引業法(以下、宅建業法)では、事務所に関する厳格な要件が定められており、バーチャルオフィスはこれらを満たすことができないためです。
しかし、レンタルオフィスやコワーキングスペースであれば、条件次第で宅建免許を取得できる可能性があります。この記事では、バーチャルオフィスが認められない理由と、レンタルオフィスやコワーキングスペースでの宅建業免許取得の条件について詳しく解説します。
バーチャルオフィスが宅建業の事務所として認められない理由
1. 宅建業法における「事務所」の定義
宅建業法では、宅建業を営むための事務所に関して、以下のような要件を定めています。
- 従業者名簿と帳簿を備え、適切に管理すること
- 国土交通省令で定める標識(業者票)を掲示できること
- 国土交通大臣の定めた報酬額を提示できること
- 業務に必要な机や電話、固定回線を備えた独立したスペースであること
- 来客対応が可能であり、実際に人が出入りできること
これらの要件は、宅建業者が適正に業務を行い、消費者に対して透明性のある取引を提供するために定められています。
2. バーチャルオフィスの特性と宅建業法の要件の不一致
バーチャルオフィスとは、実際に物理的なオフィススペースを持たずに、住所や電話番号のみを借りられるサービスです。確かに、法人登記や郵便物の受け取りなどの利便性はありますが、以下の点で宅建業法の「事務所」の要件を満たしません。
① 物理的な事務所スペースがない
バーチャルオフィスは、事務所としての独立した空間がなく、従業員が日常的に業務を行う場所として適切ではないとみなされます。
② 帳簿や従業者名簿を備えることができない
宅建業では、業務の適正管理のために帳簿や従業者名簿の備付が義務付けられています。しかし、バーチャルオフィスにはそれらを常備する場所がありません。
③ 国土交通省令で定められた標識(業者票)を掲示できない
宅建業者は、事務所に業者票(標識)を掲示することが義務付けられています。バーチャルオフィスでは、他の企業と住所を共有しているため、個別の業者票を掲示することができません。
④ 固定電話の設置が困難
宅建業法では、事務所に固定電話を設置することが求められています。バーチャルオフィスでは、通常、電話番号のみを提供するサービスが多く、実際に事務所に電話機が設置されていない場合がほとんどです。
これらの理由により、バーチャルオフィスでは宅建業免許の取得ができません。
レンタルオフィスやコワーキングスペースなら宅建免許は取得可能?

バーチャルオフィスでは宅建業免許が取得できませんが、レンタルオフィスやコワーキングスペースであれば、条件次第で宅建業の事務所として認められる場合があります。ただし、どんな物件でも良いわけではなく、以下のような要件を満たす必要があります。
レンタルオフィス・コワーキングスペースで宅建業免許を取得するための条件
✅ 専用スペースが確保されていること
他の利用者と共有するフリースペースではなく、自社専用の固定席や個室があることが求められます。
✅ 固定電話を設置できること
携帯電話のみではなく、固定電話を設置できる環境が整っていることが必要です。
✅ 業者票(標識)を掲示できること
宅建業者は、事務所に標識を掲示する義務があります。許可された場所に標識を設置できるか事前に確認しましょう。
✅ 帳簿・従業者名簿を備えられること
書類を適切に保管できる設備があることが求められます。
✅ 業務遂行に支障がない環境であること
宅建業は契約書の作成や重要事項説明を行う業務が含まれるため、落ち着いて業務ができる環境であることが条件になります。
レンタルオフィス・コワーキングスペースでの取得事例
実際に、当事務所ではコワーキングスペースを利用した宅建業免許の取得サポートを多数行っています。
例えば、最近サポートさせていただいた「株式会社ぐれーとあーす様(東京都渋谷区幡ヶ谷)」では、駅チカのコワーキングスペース「MIDPOINT幡ヶ谷」を利用して宅建業免許を取得しました。
埼玉県や千葉県、東京都、神奈川県でも取得実績がございます。
【参照】
宅建免許を取得したことのあるレンタルオフィス一覧
千葉県で宅建免許を取得するためのレンタルオフィス活用法
静岡県のレンタルオフィスで宅建免許取得を目指す方法とポイント
埼玉県のレンタルオフィスで宅建免許取得を目指す方法
横浜のレンタルオフィスで宅建免許を実際に取得した方法と実際の取得例【神奈川県】
宅建免許はレンタルオフィスでも取得可能です
さいたま市大宮のコワーキングスペースで宅建免許申請をサポート!行政書士による実例紹介
このように、レンタルオフィスやコワーキングスペースでも、宅建業の事務所要件を満たせば免許取得が可能です。
まとめ:バーチャルオフィスではなく、条件を満たしたレンタルオフィスを選ぼう!

✅ バーチャルオフィスでの宅建業免許取得は不可
- 理由:事務所要件を満たさないため、免許申請が認められない。
✅ レンタルオフィス・コワーキングスペースは条件次第で取得可能
- 専用スペース、固定電話、標識の掲示、帳簿の保管ができることが必須条件!
✅ 宅建免許の申請は専門家に相談!
レンタルオフィスやコワーキングスペースで宅建業を開業したい方は、事前に行政書士に相談することで、スムーズな免許取得が可能です。
当事務所では、宅建免許申請のプロとして、レンタルオフィス・コワーキングスペースでの免許取得を全力でサポートいたします。お気軽にご相談ください!
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