宅地建物取引業免許(宅建免許)を取得する際、住民票に登録されている住所と実際に居住している住所(居所)が異なる場合、どのように対応すればよいのでしょうか?
特に、単身赴任・長期出張・賃貸契約の都合など、さまざまな理由で住民票を移していない方にとって、この問題は重要です。
本記事では、宅建免許申請時に住民票と居所が異なる場合の具体的な手続きや必要書類、注意点について詳しく解説します。

住民票と居所の違いとは?
まず、「住民票」と「居所」の違いを明確にしておきましょう。
用語 | 意味 | 法律上の扱い |
---|---|---|
住民票 | 本籍地とともに登録される公的な住所情報 | 住民基本台帳法に基づき、市区町村に登録される |
居所 | 実際に居住している場所(例:単身赴任先、長期出張先) | 公的な記録にはならないが、実態としての住所 |
一般的に、宅建免許申請では「住民票の住所」を基準とするため、住民票と実際の居住地が異なる場合は特別な対応が必要になります。
なぜ住所の正確な申請が重要なのか?
宅建業法では、免許申請の際に「正確な住所の提供」を義務付けています。これには、以下の理由があります。
1. 行政からの連絡が届かなくなるリスク
宅建業者には、免許更新通知や重要な行政連絡が届くことが不可欠です。誤った住所を登録していると、免許更新の案内が届かず、期限切れで免許が失効するリスクもあります。
2. 顧客や取引先の信頼確保
宅建業者の事務所の住所や代表者の住所が正確であることは、信用の証です。顧客や取引先に対し、信頼性を示すためにも、正しい住所を申請する必要があります。
3. 法令違反のリスク
住所の虚偽申告は宅建業法違反となる可能性があり、免許の取得・更新に影響を及ぼすことがあります。そのため、住民票と居所が異なる場合には、適切な手続きを行いましょう。
居所での申請が認められるケース
住民票とは異なる居所で宅建免許を申請するには、一定の条件を満たす必要があります。以下のようなケースでは、居所での申請が認められることがあります。
① 単身赴任の場合
- 会社の都合で地方に単身赴任しているが、家族が住む実家の住所を住民票に残している。
- この場合、単身赴任先を「居所」として宅建免許を申請することが可能。
② 長期出張の場合
- 1年以上の長期出張で、賃貸物件や会社の寮などに居住している。
- 出張先が事実上の生活拠点となるため、「居所」として認められる場合がある。
③ 賃貸契約の都合による住民票未移動
- 賃貸契約の関係で、住民票を移動しにくいケース(例:短期間の契約)。
- 実際の居住地を証明できれば、「居所」として宅建免許申請が可能。
⚠ 注意点 都道府県によっては、居所申請の判断基準が異なる場合があります。事前に申請予定の窓口へ確認することをおすすめします。
居所申請に必要な書類

居所で宅建免許を申請する場合、実際に居住している証拠を提出しなければなりません。一般的に以下の書類が必要とされます。
📌 必要書類一覧
✅ 公共料金の領収書(電気・ガス・水道など)
✅ 賃貸契約書のコピー(契約者名・住所・契約期間が記載されたもの)
✅ 勤務先からの居住証明書(会社が発行する単身赴任・出張証明書など)
✅ 郵便物(公的機関からの通知など)
✅ 住民票の写し(本籍地が記載されたもの)
⚠ 書類のポイント
- 発行日が直近3ヶ月以内のものが望ましい
- 申請者の氏名と住所が明記されている必要がある
- 居住の実態を示す証拠として十分な書類を提出すること
東京都での宅建免許申請における注意点
東京都での宅建免許申請では、以下のような注意点があります。
① 事務所の所在地と代表者の住所の一致
東京都では、宅建業者の代表者の住所と事務所の所在地が合理的に結びつくことが求められます。
例えば、「住民票の住所が北海道で、東京都内の事務所を申請」する場合は、東京での居住実態を証明する必要があります。
② 居所申請の条件
東京都では、住民票と異なる住所で宅建免許を申請する際、以下の書類の提出が必要になります。
- 居住証明書(勤務先発行)
- 公共料金の請求書(住所記載あり)
- 住民票(本籍地・世帯主の記載あり)
- 賃貸契約書(借主としての記載があるもの)
これらを用意し、東京都庁または指定の窓口へ申請することが必要です。
申請時の手続きの流れ
① 必要書類の準備
まず、住民票・居所を証明する書類を揃えます。
② 申請書の記入
宅建免許の申請書に、住民票の住所・居所の住所を正確に記載します。
③ 申請窓口での確認
提出前に、東京都の宅建業免許窓口や行政書士に事前相談すると安心です。
④ 申請提出 & 受理
問題がなければ、申請が正式に受理されます。
まとめ

本記事では、住民票と居所が異なる場合の宅建免許申請の対処法について解説しました。
✅ 原則として住民票の住所で申請する
✅ 単身赴任や長期出張の場合、居所申請も可能
✅ 居所の証明書類(公共料金の領収書・賃貸契約書など)を提出する
✅ 東京都では追加書類が必要な場合があるため、事前確認が重要
宅建免許申請は慎重に行う必要があります。手続きに不安がある方は、ぜひ当事務所にご相談ください!
