三鬼商事(株)の、2023年7月の全国主要都市のオフィスビル最新市況調査結果を発表に伴い、内容をまとめてみます。
東京都心の主要5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィス空室率および賃料の動向に注目が集まっています。7月末時点での空室率は6.46%と、前月比0.02ポイント低下を示しています。
大規模ビルが募集面積を残して竣工し、大型解約もあったが、成約が多くみられたことから全体ではわずかに低下した。1坪当たりの平均賃料は1万9,819円(同19円減)と続落、5ヵ月連続で2万円を割り込んだ。
特に、空室率の上昇は3カ月連続となり、2022年9月以来の高水準を維持しています。加えて、供給過剰の目安とされる5%を30カ月連続で上回っており、供給側の動きに注目が集まっています。
2023年7月の全国主要都市オフィスビル市況概観
東京ビジネス地区(都心5区)
平均空室率:6.46%(前月比0.02ポイント低下)
大型解約と大規模ビルの募集面積の残存がありつつも、多くの成約によりわずかに低下。
1坪当たりの平均賃料:1万9,819円(前月比19円減)
5ヵ月連続で2万円を下回る。
区別の空室率:
千代田区:3.80%(前月比0.17ポイント低下)
中央区:6.85%(前月比0.03ポイント上昇)
港区:9.60%(前月比0.06ポイント上昇)
新宿区:5.44%(前月比0.07ポイント上昇)
渋谷区:4.28%(前月比0.27ポイント低下)
新築ビル空室率:34.42%(前月比横ばい)
既存ビルの空室率:5.71%(前月比0.07ポイント低下)
大阪ビジネス地区
平均空室率:4.61%(前月比0.24ポイント低下)
地区全体の空室面積は約5,300坪減少。
1坪当たりの平均賃料:1万1,911円(前月比37円増)
28ヵ月ぶりに1万1,900円台を記録。
新築ビル空室率:22.71%(前月比0.56%低下)
既存ビル空室率:4.48%(前月比0.23ポイント低下)
賃料面では、平均賃料は1坪あたり19840円で、前月比で1168円の低下を見せています。
都心主要5区オフィス相場概観は以下になります。
平均空室率:6.5%
供給過剰の目安(5%)を29ヶ月連続で超える。
平均賃料:坪19,840円
35ヶ月連続での下落。5年ぶりに2万円を下回る。
各区の坪単価(2023年7月)
千代田区
200坪以上:算出不可
100〜200坪:¥18,988⇧
50〜100坪:¥21,497⇧
20〜50坪:¥17,839⇧
20坪未満:¥18,574⇧
中央区
200坪以上:¥25,973⇩
100〜200坪:¥21,470⇩
50〜100坪:¥20,415⇩
20〜50坪:¥17,080⇩
20坪未満:¥18,465⇩
港区
200坪以上:¥25,130⇧
100〜200坪:¥19,941⇧
50〜100坪:¥19,982⇧
20〜50坪:¥19,405⇧
20坪未満:¥21,905⇧
新宿区
200坪以上:¥32,708➩
100〜200坪:¥23,934⇧
50〜100坪:¥20,640⇩
20〜50坪:¥17,581⇧
20坪未満:¥19,133⇧
渋谷区
200坪以上:¥31,000➩
100〜200坪:¥26,425⇧
50〜100坪:¥24,259⇩
20〜50坪:¥21,524⇧
20坪未満:¥21,904➩
主要5区の平均
200坪以上:¥27,269⇩
100〜200坪:¥21,227⇧
50〜100坪:¥20,923⇧
20〜50坪:¥18,515⇧
20坪未満:¥20,283⇧
このデータから、都心主要5区のオフィス市場は、平均空室率と賃料の下落が続いていることが明らかです。また、各区における坪単価の動向も確認でき、市場の動きや地域の特性を理解かと思います。
今後、新築ビルの供給動向、外資系企業のオフィス戦略、国内企業のコロナ後のオフィスニーズの変動など、複雑な要因が絡み合う中での市場動向に注目が集まります。