不動産業界に従事する方が独立し、自身の不動産会社を設立する場合、営業開始までに必要な日数について多くの方が疑問に思うことでしょう。一般的には「宅建業免許の申請から免許受領まで、2ヶ月程度かかる」と言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。ここでは、具体的な手続きとそれに必要な日数について詳しく見ていきます。

不動産会社の退社から宅地建物取引士の退社届まで

まず、不動産会社を退社して独立を考えている方は、退社の手続きを行います。有給休暇の消化を行う場合、その期間中は会社員としての身分が残るため、独立後の専任取引士としての手続きを進めることができません。有給休暇を消化する場合、期間が終了してから次のステップに進むことになります。

有給消化が不要な場合や、有給消化後に退社する場合は、会社から「退社証明書」を発行してもらい、それを添付して専任取引士として登録している行政庁へ「勤務先変更」の届出を提出します。退社証明書の発行には1日から2週間程度かかります。

不動産会社の設立

退社後、独立開業のために会社を設立します。会社設立には、法務局の審査期間を含めて2週間から3週間程度かかります。物件探しや契約などの準備は、有給期間中や退社前の時間を利用して進めることが多いため、ここでは日数に加算しません。

宅建業免許の申請から行政庁の免許通知ハガキまで

不動産業を営業するためには、宅建業免許の取得が必要です。免許申請書の作成には、必要書類の収集を含めて2週間から3週間程度かかります。行政庁への申請手続きは1日で完了しますが、審査期間は約4週間かかります。この期間中に、全宅や全日などの不動産業協会に入会するための書類作成や申請も並行して行うことができます。

行政庁の免許通知から営業開始まで

行政庁から免許通知ハガキが届いた後、不動産業協会の入会手続きの後半を進めます。不動産業協会に入会せずに供託所に営業保証金を供託する場合は、1日で手続きが完了します。

開業までに必要な「総日数」

以上を前提に、独立して不動産会社を設立し、不動産業協会に入会した上で営業を開始するために必要な日数をまとめます。

手続き内容日数目安
有給休暇の消化消化する有給日数分
退社証明書の発行1日から2週間程度
取引士証の勤務先変更届1日
会社設立2週間から3週間程度
宅建業免許申請書・協会入会書類の作成2週間から3週間程度
宅建業免許の申請・入会届1日
行政庁の審査期間約4週間
不動産業協会の審査(後半)約2週間
宅建業免許証の受領1日

宅建業免許の申請書や不動産業協会の入会書類を有給休暇期間中に作成できれば、その分手続きに必要な日数は短縮されます。ただし、起業の準備には他にも多くの手続きが伴うため、上記の日数を最短で進めることは難しい場合が多いです。結果として、退社から不動産業の営業開始までには、2ヶ月ではなく3ヶ月弱の期間が必要になると考えておくと計画との齟齬が生じにくいでしょう。

当事務所に開業手続きを依頼いただければ、上記の手続きを最短日数で進められるよう、スケジュールを組んでサポートいたします。